Wi-Fiルーター故障に付き、新調。
せっかくなのでWi-Fi6対応品にしてみた。購入したのは、tp-link製のArcher AX10。 Wi-Fi6対応品としては最安値レベル、実売8000円前後のエントリーモデル。
2.4GHz、5GHz共に2x2 MIMO、合計4ストリームのAX1500クラスのスペック。
Wi-Fi6対応機器を持ってない人にとっては実質Wi-Fi5 AC1200クラスと同等となる。
IPoEは非対応。5GHz帯のW53/W56については箱に記載があるが、設定から該当チャンネルを選択できない。
Wi-Fi6対応品のはずなのになぜかWPA3非対応。
などなど、2020-07-22公開のファームウェアでの話とはなるが、結構地雷感の強い製品となっている。
また、同じSoCを使用する製品でOpenWrtがサポートするものは現時点で存在しないのでその点も注意されたし。
海外版となるがFCC ID.ioで見る限り、チップ構成は、SoCとしてBroadcomのBCM6750を搭載。2.4GHz帯のWi-FiモジュールにBCM43217KMLGが詰まっている。
エントリーモデルとしてはハードウェアが結構豪華。1.5GHzのトリプルコアCPUにRAM256MB、フラッシュメモリは16MB。 ちょっとしたLinuxサーバーとして期待できそうなので、OpenWrtの対応が待たれる。
無指向性のオムニアンテナが合計4本。中央2つが5GHz、左右が2.4GHz用。
マンション住まいの方は、アンテナを立てて電波を水平に飛ばそう。また、2本のアンテナで構成する面との垂直方向にもよく電波が飛ぶらしいので飛ばしたい方向に面を向ける。電波法の関係で出力は頭打ちなので、より遠くまで飛ばすか、隣人からの電波干渉に対抗するか状況に合わせて戦略的に。
ACアダプタは12V1Aが付属。高クロックSoCの割に消費電力は控えめ。
クロック高めで3コアということで本体の発熱がすごそうとの印象があったが、APモードで使用している分には本体の発熱もじんわり温かい程度で控えめ。
設定用のWebアプリは結構使いやすい。いまどきの製品らしくSPA化されて快適に動作するし某国内メーカーのルーターと違って再起動も最低限で済む。 スマートフォンアプリを使用すると、簡単な設定に限られるがIoTデバイスのようにインターネット経由でリモート管理できる。
Alexaによる音声コントロールにも対応しているようだ。
APモードにも関わらず裏でSSHサーバーが動作しているが、SHELLアクセスはできず、tetherアプリ専用のバックドアのようだ。
$ ssh root@192.168.1.20
root@192.168.1.20's password:
PTY allocation request failed on channel 0
shell request failed on channel 0
exit status 255
セキュリティ的な懸念材料は結構多いので、そういった面でも上級者向けの製品なのかもしれない。
パフォーマンス測定
iperf3を使用して実使用環境で簡易にスループットを測定してみた。
AX10ルーターはAPモードで使用。iperf3サーバーとしてOrange Pi Win Plusをリンク速度1GbpsでAX10と有線接続している。
有線接続のスループットを計測する。
1000Base-Tで接続、リンク速度は1Gbps。クライアントマシンのEthernetモジュールはIntel製のI217-LM。
$ iperf3 -c 192.168.1.8
Connecting to host 192.168.1.8, port 5201
[ 4] local 192.168.1.104 port 55375 connected to 192.168.1.8 port 5201
[ ID] Interval Transfer Bandwidth
[ 4] 0.00-1.00 sec 112 MBytes 943 Mbits/sec
[ 4] 1.00-2.00 sec 112 MBytes 941 Mbits/sec
[ 4] 2.00-3.00 sec 112 MBytes 942 Mbits/sec
[ 4] 3.00-4.00 sec 112 MBytes 942 Mbits/sec
[ 4] 4.00-5.00 sec 110 MBytes 920 Mbits/sec
[ 4] 5.00-6.00 sec 112 MBytes 942 Mbits/sec
[ 4] 6.00-7.00 sec 112 MBytes 943 Mbits/sec
[ 4] 7.00-8.00 sec 112 MBytes 939 Mbits/sec
[ 4] 8.00-9.00 sec 112 MBytes 942 Mbits/sec
[ 4] 9.00-10.00 sec 112 MBytes 943 Mbits/sec
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
[ ID] Interval Transfer Bandwidth
[ 4] 0.00-10.00 sec 1.09 GBytes 940 Mbits/sec sender
[ 4] 0.00-10.00 sec 1.09 GBytes 940 Mbits/sec receiver
iperf Done.
結果は実測で940Mbpsとなった。理論値の9割以上出ているのでなかなかに優秀。
一方、ワイアレス接続のスループットはどうか。
Wi-Fi5の旧世代となるが、802.11acで接続、リンク速度は866.7Mbps。Wi-FiモジュールはIntel Dual Band Wireless-AC7260。
$ iperf3 -c 192.168.1.8
Connecting to host 192.168.1.8, port 5201
[ 4] local 192.168.1.103 port 55512 connected to 192.168.1.8 port 5201
[ ID] Interval Transfer Bandwidth
[ 4] 0.00-1.00 sec 35.9 MBytes 300 Mbits/sec
[ 4] 1.00-2.00 sec 41.4 MBytes 347 Mbits/sec
[ 4] 2.00-3.00 sec 39.6 MBytes 334 Mbits/sec
[ 4] 3.00-4.00 sec 41.5 MBytes 348 Mbits/sec
[ 4] 4.00-5.00 sec 39.9 MBytes 333 Mbits/sec
[ 4] 5.00-6.00 sec 39.6 MBytes 333 Mbits/sec
[ 4] 6.00-7.00 sec 42.0 MBytes 353 Mbits/sec
[ 4] 7.00-8.00 sec 40.8 MBytes 342 Mbits/sec
[ 4] 8.00-9.00 sec 41.6 MBytes 349 Mbits/sec
[ 4] 9.00-10.00 sec 42.1 MBytes 353 Mbits/sec
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
[ ID] Interval Transfer Bandwidth
[ 4] 0.00-10.00 sec 404 MBytes 339 Mbits/sec sender
[ 4] 0.00-10.00 sec 404 MBytes 339 Mbits/sec receiver
iperf Done.
ワイアレス接続は理論値の半分以下と奮わない。クライアントマシンのWi-Fiモジュールが旧世代のものなので、そちらがボトルネックとなっている可能性もある。
以上、格安Wi-Fi6ルーターのArcher AX10でした。
同社のAC1200クラスのWi-Fi5ルーターArcher C6が3000円台で購入できることを考えると、なかなかに微妙な選択だったかもしれない。ハードウェア的には悪くはないので、新ファームウェアに期待したい。