stylesheet

2011-04-12

Vaio PCG-SR9/K に Crunchbang 10 Statler をインストール

前回、骨董品ノートパソコンの Vaio PCG-SR9/K に Puppy Linuxをインストールした。
パフォーマン的には満足いくものの、いまいちしっくりこない。やはりLinuxといえばDebian/Ubuntuに限る。

というわけで、今回は Crunchbang 10 (Statler) をインストールしてみる。
CrunchbangはUbuntuをベースとし、軽量なデスクトップ環境を載せて統一感のあるダークなデザインで彩った、とってもクールで洗練されたディストリビューション。
本バージョンよりベースとなるディストリビューションをUbuntuからDebian(Squeeze)ベースへと変更し、ますます魅力的なディストリビューションとなった...はず。

注意点のおさらい

  • CDドライブからの起動はSony純正ドライブのみ対応。そして純正ドライブなど持ってない。
  • USB接続のFDDからのブートはできそうだが、これも持ってない。
  • USBメモリからのブートもBIOSが非対応。
  • PXEブートも非対応。そもそもLANポートがない。
  • 手持ちで使えそうな周辺機器は一緒にもらったUSB接続のDVDドライブ、PCMCIA接続のLANカードのみ。

以上をふまえてインストールを開始する。
今回のCrunchbangはオンメモリで動作する類のMinimum Linuxではないので、インストールの為に専用のパーティションを用意してそこへインストールする。

尚、今回のインストール方法は、インストーラーの起動のみHDDから行い、その後認識したUSB接続のDVDドライブよりデータを読み込んでインストールする。

インストールの下準備

空き領域の確保

現在、使用中のハードディスクは全ての領域を1つのNTFSパーティションで使用しており、空き領域はない。既存パーティションの領域をなんとか切り詰めて、インストール用の空き領域を確保する必要がある。

GParted Live CDPartedMagic 等のディスクメンテナンス用のLiveCDを使用するのが一番だが、CDブートに難がある。お手軽にWindows用のフリーソフトを使用して行うことにした。

使用するソフトは EASEUS Partition Manager
このソフトを使用して、C:ドライブの後方を切り詰めることで4.2GB分の空き領域を確保した。

  • EASEUS Partition Managerを起動、C:ドライブを選択した状態でResize/Move Partition。
  • Unallocated Space Afterを調節して空き領域を確保。
  • Apply Changeボタンを押して変更を反映。

インストーラーの準備

GRUB4DOSが導入済みであることが前提。
GRUB4DOS のインストールは前回のPuppy Linuxをインストールの記事を参照。

CrunchbangのCDイメージをダウンロードし、CDを作成しておく。ダウンロードするイメージはXfce4 32-bit版。
欲張ってXfceにしてみた。軽さで言えばOpenboxのほうが軽いはず。

CDの作成が完了したら、CDのinstallディレクトリから vmlinuz、initrd.gz、crunchbang.cfg を C:\crunchbang へコピーする。
次に C:\menu.lst を編集し、GRUB4DOS のメニューへインストーラーの起動項目を作成する。ついでにCrunchbang起動用の項目も追加しておく。

title crunchbang install
  find --set-root --ignore-floppies /crunchbang/initrd.gz
  kernel /crunchbang/vmlinuz vga=normal file=/cdrom/install/crunchbang.cfg
  initrd /crunchbang/initrd.gz

title CrunchBang 10 Statler
  kernel (hd0,4)/boot/grub/core.img

以上で下準備は完了。

インストール

Crunchbangのインストールを開始する。

CDをセットした状態で再起動を行う。GRUB4DOSのメニューでは、crunchbang install を選択する。

インストーラーからの質問にはキーボードだけJapaneseを選択し、他は英語にしておく。CrunchbangのインストールCDは日本語パッケージを含まない。

Select a language: English
Select your location: United States
Select a keyboard layout: Japanese

無事にインストーラが起動すれば、CDドライブを認識しているはずだ。インストーラーがCrunchbangのインストールCDを自動で検索してくれる。

いくつかのパッケージの読み込み後、ネットワークの設定について聞かれる。LANカードを認識できていないので聞かれるのはホスト名だけ。
我が家のネットワーク規約に従ってNASUと命名。

続いてユーザーの作成。CrunchbangではUbuntuと同じようにsudoを使用するのが流儀のようなのでrootのパスワードは聞かれない。

Full name for the user: 使用者のフルネームを入力
Username for your account: アカウント名を入力
Choose a password for the new user: パスワードを入力

タイムゾーンはAsia/Tokyoとしたいところだが見当たらないのでEasternにしておく。

Configure the clock: Eastern

パーティションの作成を行う。
パーティションは先ほど用意した空き領域にマニュアルで以下の通り作成した。搭載メモリが極貧なのでswap領域は大目に確保しておいた。

SCSI (0,0,0) (sda) - 12.1 GB ATA TOSHIBA MK1214GA
    #1  primary    7.8 GB       ntfs
    #5  logical    3.8 GB    f  ext4    /
    #6  logical  489.7 MB    f  swap    swap

パッケージのコピーが始まる。時間がかかるので、しばらく休憩するといい。

次はブートローダーのGRUB2をインストール。GRUB4DOSは残しておきたいので rootパーティションの先頭にインストールすることにする。
1番目のディスクの2番目の領域なのでそれぞれ0、1となる。番号は0から始まる。

(hd0,1)

以上でCrunchbangのインストールは完了。

環境設定

再起動後、GRUB4DOSのメニューでは Crunchbang 10 Statler を選択する。rootパーティションのGRUB2が起動するのでそのままEnterキーを押せばCrunchbangの起動が開始される。あるいは、そのままタイムアウトまで待ってても良い。

起動が完了したら、インストール時に作成したユーザー名とアカウントでログインする。
ターミナルにwelcomeスクリーンが表示されるが、今はqキーを押して終了する。ネット接続できないので接続できるようになってからターミナルでcb-welcomeしてやり直す。

ちなみにこの時点でのリソース使用量は...。

RAM:         47.0MiB/ 122MiB
Swap usage:  336KiB/ 467MiB
Disk usage:  1.16GiB/3.48GiB

ここから更に日本語環境をインストールすることを考えると少し厳しいか?

rootへパスワードを設定

最初にrootへパスワードを設定し、suを使用できるようにする。

$ sudo passwd
[sudo] password for user: パスワードを入力
Enter new UNIX password: rootに設定するパスワードを入力
Retype new UNIX password: 同じものをもう一度入力

ネットワーク接続の設定

次、ネット接続できないとどうにもならんのでLANカードを何とかする。

ターミナルでifconfigしてみるもloopbackのみ。
lspci。CardBus Bridgeは認識してる。
pccardctl...。コマンドがない...。

ぐぐったら同じ症状の人を発見。

pcmciautilsを入れると良いらしい。
別マシンでdebファイルをダウンロードしてUSBメモリにコピーして持ってくる。

手近にあったウォークマンを使用した。USBコネクタに差し込むと自動でFileManagerが起動するので、pcmciautils.deb をダブルクリックしてインストール。

面倒なので再起動...。

うまく認識した。

$ pccardctl info
PRODID_1="BUFFALO"
PRODID_2="LPC3-CLX"
PRODID_3="R01"
PRODID_4=""
MANFID=026f,0301
FUNCID=6

DHCPでアドレスも取得できてる。

$ ifconfig

更新レポジトリの変更

cb-welcomeを開始する前に sources.list を編集して近所のサーバーに変更しておく。ついでにdebian-multimediaも追加しておいた。

$ sudo nano /etc/apt/sources.list

## CRUNCHBANG
## Compatible with Debian Squeeze, but use at your own risk.
deb http://packages.crunchbanglinux.org/statler statler main

## DEBIAN
deb http://ftp.jp.debian.org/debian/ squeeze main contrib non-free
#deb-src http://ftp.jp.debian.org/debian/ squeeze main contrib non-free

## DEBIAN SECURITY
deb http://security.debian.org/ squeeze/updates main
#deb-src http://security.debian.org/ squeeze/updates main

## DEBIAN BACKPORTS
#deb http://backports.debian.org/debian-backports squeeze-backports main contrib non-free

## DEBIAN MULTIMEDIA
deb http://www.debian-multimedia.org squeeze main non-free

debian-multimeida のキーリングは手動で追加する。

wget http://www.debian-multimedia.org/pool/main/d/debian-multimedia-keyring/debian-multimedia-keyring_2010.12.26_all.deb
$ sudo dpkg -i debian-multimedia-keyring_2010.12.26_all.deb

cb-welcomeセットアップスクリプトを実行

お待ちかねのcb-welcomeを開始

$ cb-welcome

選択は以下の通り指示した。

Welcome to CrunchBang Linux! :)

UPDATE SOFTWARE SOURCES: はい #sudo apt-get updateする.
UPDATE INSTALLED PACKAGES: はい #Enter #sudo apt-get dist-upgradeする. かなり時間がかかる. 一度PCがハングアップしてcb-welcomeをやり直した.
PRINTER SUPPORT: スキップ #印刷関連のパッケージはいらない.
INSTALL JAVA SUPPORT: スキップ #Javaもいらない.
WHY DRIVE WHEN YOU CAN FLY?: はい #最適化カーネル(Liquorix/Zen)を使用する. もしかしたらはやくなるかも...
INSTALL OpenOffice.org: スキップ #OpenOfficeはいらん.
SSHFS & FUSE: はい #このアカウントでFuseを使えるようにする.
ADD CRUNCHBANG MULTI-SESSION: スキップ #Xfceを使用中なのでOpenboxセッションはいらない.
INSTALL DEVELOPMENT PACKAGES: スキップ #開発用パッケージはとりあえずいらない.

THANK YOU FOR USING CRUNCHBANG! :)

日本語環境の整備

続いて日本語環境を整える。

必要なパッケージのインストール。

$ sudo aptitude install ttf-vlgothic ibus-anthy

ロケールの再構築。ja_JP.UTF-8を追加する。面倒なのでデフォルトロケールもja_JP.UTF-8にしてしまう。

$ sudo dpkg-reconfigure locales

以上で、日本語化は完了。Xの再起動で日本語が使用可能な状態になる。楽ちん。

その他

セットアップ中から気になっていた"Statler syas,..."ポップアップがうざいので無効にする。 その他、不要なスタートアップもコメントアウト。

$ nano ~/.config/xfce4/autostart.sh

...
# (sleep 120s && cb-fortune) &
...

不要なデーモンを停止する。sysv-rc-confを導入すると楽かもしれない。

avahi-deamon
bluetooth
pppd-dns

デフォルトではChromiumブラウザがインストールされているが、 使い物にならないぐらい重いのでmidoriブラウザを代わりに使う。

$ sudo aptitude install midori

以上の作業完了後の使用リソース。計測はログイン完了後の値。

RAM:         66.2MiB/ 122MiB
Swap usage:  1.76MiB/ 467MiB
Disk usage:  1.86GiB/3.48GiB

感想

残念ながらWindows2000より重い。 あくまで軽量なUbuntu/Debianデスクトップであって、puppyやslitaz等の軽量Linuxとは到底比べられない。見かけ上の使用メモリは低いが、ターミナルを起動するだけでもハードディスクがガリガリガリガリ...。すぐにSWAPが発生して右クリックでメニューを開くだけでも待たされるようになる。
最低でも256MB、できれば512BM程度のRAMは必要だろう。

とはいえ、プリインストールのアプリケーションは結構好みであるし、細部まで丁寧に黒で統一されたデスクトップは見栄えもする。 見た目以外はDebianそのものなので、Debianのやり方が通用する。レポジトリもそのまま使えるので更新の心配もいらない。
Debian最少構成から同じ程度まで構築するにはそれなりに手間がかかるだろうから、 お手軽に見栄えのする軽量デスクトップを使用できることを考えるとポイントは高い。

もう少しましなスペック、CPU 1GHz、メモリ 512MB ぐらいの今世紀のジャンクPCを入手したら、Ubuntuの代わりにCrunchbangを使おうと思う。その際はOpenbox版から試すことを忘れないように...。