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2018-11-18

Kensington Orbit Trackball with Scroll Ring (K72337) の分解整備

Kensington製のスクロール機能付きトラックボール製品。私の記憶が正しければ、5年以上前に購入したもの。

同社トラックボールシリーズの中では下位グレードに位置するもので、比較的安価に入手できる。
特徴的なスクロール機構で根強い人気があるのか、2018年の現在でも未だにカタログ落ちせずに新品入手可能。かなりのロングセラー製品。

https://www.kensington.com/p/products/control/trackballs/Orbit-Trackball-with-Scroll-Ring/
  • 製品のコンセプト - 良い
  • 操作性 - 左右対称デザインで利き手側のクリックが難有
  • 外観 - 値段なり
  • 品質 - クリックがしょぼい
  • 価格 - ニッチな製品なので妥当

そんな製品であるが、ラップトップPCを主に使うようになったこと、クリックの切れが悪く下品で大きな音がすることから長らくジャンク箱入りしていた。

その後、環境の変化もあり、思い立って再度使い始めた。
机が散らかっている時にも省スペース据え置きで使えるトラックボールはやはり便利ではある。

しばらくそのまま使用していたが、やはりこのクリックでは快適に使用することが難しい。
そのため、分解整備を実施することとし、同時にクリック感やクリック音の改善ができればと思う。

分解整備の様子

甲虫感あふれるガワは底面に4本のネジ、手前のゴム足下に1本の隠しネジで固定。
被せているだけなのでネジを外せば簡単に外れる。

トラックボール部はモジュール化されており3本のネジとコネクタを外すだけで分離できる。
汚れが溜まりやすい箇所のためか、ネジに錆が出ていた。

基板の固定も4本のネジによる。こちらに関しては高そうなネジが使われていた。
錆を嫌ってステンレスネジが使われているのかもしれない。Kensingtonの良心を感じるところ。
全体的に修理も考慮された造りで5年保証への意気込みを感じる。

安っぽいプラのしなりを使用したクリック部分。
ボディとのスレが気になったので少し削りとった。

スイッチはタクトスイッチを使用。左と右でフィーリングが違うものが使用されているようだ。
56と記載の左クリック用はカチャカチャと下品で騒々しく、2Jと記載の右クリック用はペコペコと控えめな安っぽい音がする。
使用頻度が高い左クリックが下品ではよろしくないが、手持ちに合いそうなパーツがない。
今回は右と左のスイッチを入れ替えてそのまま使用することとする。

※劣化のためか、ハンダの際は基板のランドが剥がれやすいので注意。

剥がれたので、緊急オペを行った。 心臓部と脳を直結するバイパス手術を行い、骨組みに管を通す穴を開ける。

スイッチは2本足固定で座りが悪い。 生コンで埋めて補強しよう。

筐体には空間があり、スピーカーのエンクロージャーのように作用してクリック音が増幅されている。
そうに違いないので、吸音材を詰める。
素材は生花用の吸水スポンジを使用した。水を吸うように雑音も吸い取ってくれるハズだ。
更に、鉛を詰めて重量増による制振効果を狙う。6gを2つ埋め込んで12gのウェイトアップ。フィッシング用なので防水性能も万全だ。

スクロールリングのカサカサ感も気になるので、AZ製の高性能オイルでグリスアップ。
部位に応じて粘度の異なるオイルを使い分けるこだわり。 ただし、バイク用品なので樹脂やゴムを侵食しないかはわからない。

錆落としを兼ねて、ネジの一本一本まで丁寧に磨き上げる。ビフォー&アフター。
職人の丁寧な手仕事に晴れてジュネーヴシールを授けたい。塗膜が禿げたけど。

組み立てて完成。
良くなった。

感想

スイッチの左右入れ替えとグリスアップは、確実に効果が実感できる。お奨め。
その他の改造もDIYすることでプラシーボが効果を発揮して所有する喜びが味わえるに違いない。

思うに、メーカーも最初から右左のスイッチを入れ替えて出荷すべきなのではと思う。
安価で希少な中玉トラックボールとして、もう少し評価が高い製品になっていたかもしれない。

アップデート

本革張りにアップデート。よりラグジュアリーな逸品に。
クリック操作に干渉するので残念ながらメインボディのみ。